OpenStack Queens リリース

2018年2月28日、OpenStack のバージョン 17 にあたる Queens がリリースされました。

Queens では、以下の点が強化されています。

HPC/AI/機械学習

vGPU 対応:OpenStack Compute service(Nova) でハイパーバイザに KVM 又は XenServer を使用している場合、VM がそのホストサーバ上の GPU を利用できるようになりました。

可用性向上

Queens リリースで Cyborg が登場しました。Cyborg は GPU, FPGA, 暗号カード、DPDK/SPDK といったハードウェア・ソフトウェアのアクセラレーション機能を管理するフレームワークです。Cyborg は Nova, Ironic との共用や、単独利用も可能です。

商用ワークロード

ボリュームの複数アタッチ:OpenStack Block Storage service (Cinder) が管理する1つのボリュームを、OpenStack Compute service (Nova) 上の複数のサーバインスタンス(VM, 物理マシン)から同時に接続・利用できるようになりました。従来の SI で多用された共有ストレージによる HA クラスタの構築が OpenStack 上でも可能になり、レガシーシステムのクラウドマイグレーションにも活用できます。

エッジコンピューティング

OpenStack Helm:従来の kolla-kubernetes プロジェクトとは異なるアプローチで Kubernetes 上にコンテナ化された OpenStack 基盤を構築する為のツールが公開されました。本ツールは AT&T が社内の OpenStack プライベートクラウド基盤の構築・運用に使用していたものをベースにしています。

コンテナ

LOCI:OpenStack の各コンポーネントの Open Container Initiative (OCI) 互換コンテナイメージを作成するツールまたは生成イメージを提供するプロジェクトが登場しました。LOCI が作成したイメージ群は OpenStack Helm による OpenStack 基盤全体の構築に使用したり、Cinder のような単独コンポーネントの構築にも使用できます。

Kuryr CNI デーモン:Kubernetes と OpenStack のネットワーク機能を連携する為のコンポーネント Kuryr で HA 機能を提供する Kuryr CNI デーモンが追加されました。これは Kubernetes の Pod イベントを監視し、コントローラのダウンなどのイベントが発生した際に適切な対処を行います。

運用性向上

物理マシンのレスキューモード対応:OpenStack Compute Service (Nova) では、設定ミス等で正常に運用できなくなった VM の障害対応を行う為のレスキューモードが以前よりありましたが、今回物理マシンでも同じ機能が利用できるようになりました。

デフォルトポリシーのコード化:従来、各 OpenStack コンポーネントは REST API のアクセス制御ルール(ポリシー)のテンプレートを独立した設定ファイルで提供してきましたが、各コンポーネントでこのデフォルト設定をソースコード内で行うよう変更されました。これにより、運用者は変更が必要なルールのみ設定ファイルで記載すれば良くなり、またコンポーネントのバージョンアップに伴う設定ルール追加が不要になる等、様々なメリットが得られるようになります。

操作性向上

WebUI 上のオーケストレーションテンプレートのドラッグアンドドロップ対応:OpenStack Dashboard (Horizon) の Stack 管理画面で、Heat テンプレートのドラッグアンドドロップ実行に対応しました。

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。